【翻訳】カーステン先生が斬る! スタンダード新デッキのマナベース
2019年1月30日 翻訳 CFBより、カーステン先生のスタンダードのマナベースに関する記事(https://www.channelfireball.com/articles/the-mana-in-new-standard-is-great-but-dont-stretch-it-too-far/)です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
スタンダード新環境が始まり、トーナメント結果が上がってきています。ラヴニカの献身の登場により、とうとう10種類のショックランドが勢揃いしました。このショックランド+チェックランドのマナベースはどこまで選択肢を広げさせてくれるのか? みなさん気になっていることと思います。その疑問に答えるため、今回は先週末インディアナポリスで開催されたSCGトーナメントのTop4デッキそれぞれのマナベースを分析してみましょう。
このトーナメントについてはビデオ/テキストそれぞれで素晴らしいカバレージが採られています。カバレージが全くオミットされた、ニュージャージーのマジックフェスタ内で行われたグランプリとは対照的です。しかしそれより尚悪いのは、そのGPではカバレージを採らない旨が、あるツイートへのリプライという形で初めて"アナウンス"されたことです。このイベント運営の方針転換とコミュニケーションの取り方、いずれも私には極めて残念なことです。長年私はカバレージライターとしてGPに携わってきました。最後にカバレージを担当したGPではデッキブレイクダウンを取り、Top8は1つのツイートに順次結果をぶら下げていくことで動向をたどりやすくしましたし、その他多くの情報を適宜アップデートしていきました。自分が参加できないイベントでも、熱心なカバレージスタッフが発信する情報の全てを誰もが、ほぼリアルタイムで受け取ることができたのです──こういったことが、マジックのイベントが素晴らしいものであると確信できる所以でした。そういう時代が終わってしまったのだとしたら、とても寂しいことです。
それはともかく、SCGのイベントにはカバレージがあるのですから、その運営を讃えようではありませんか。Top8に『批判家刺殺』も『荒野の再生』も全く姿を見せないのは少し意外でした──イベントの2日目、そしてMTGアリーナでは赤単とターボフォグをあれほど目にしたというのに! BO3とBO1が全く異なるフォーマットであるということが、改めて浮き彫りにされたということでしょうか。
さて、まずは優勝デッキから見ていくことにしましょう。
Anthony DevartiのBUGミッドレンジ
愚蒙の記念像 2
森林の墓地 4
草むした墓 4
沼 2
島 1
森 4
繁殖池 4
湿った墓 2
水没した地下墓地 1
ラノワールのエルフ 4
マーフォークの枝渡り 4
野茂み歩き 4
探求者の従者 1
翡翠光のレインジャー 4
貪欲なチュパカブラ 2
真夜中の死神 2
殺戮の暴君 2
ハイドロイド混成体 3
ビビアン・リード 3
喪心 2
ヴラスカの侮辱 2
採取//最終 3
サイドボード
肉儀場の叫び 3
最古再誕 2
若葉のドライアド 1
押し潰す梢 1
ヴラスカの侮辱 1
軽蔑的な一撃 1
否認 2
強迫 4
前環境では、間違いなくゴルガリミッドレンジが王者でした。そして、BGはひとまず王座を明け渡すつもりはないようです。たった一つの変化は、このデッキが今は青をタッチしているということでしょう。『ハイドロイド混成体』には、その価値があります。そして『繁殖池』が、それを可能ならしめています。優勝トロフィーをもたらすことになったデッキで、Anthonyは8枚の青マナソースを採用しています。『繁殖池』4枚、『湿った墓』2枚、『水没した地下墓地』1枚、『島』1枚。対して、8位と11位に入賞したBUGでは青マナソースは10枚採られています──4枚の『繁殖池』、『水没した地下墓地』と『湿った墓』3枚ずつ、『島』は不採用です。全てのリストで『マーフォークの枝渡り』と『翡翠光のレインジャー』が4枚ずつ採られていますから、これら8枚をざっくり1枚の青マナカウントとして計算しますと、それぞれ9枚の青マナソースと11枚の青マナソースを採用したデッキ、と言えますね。さて、安定してハイドロイドをプレイするために必要な青マナソースの数とは、いったい何枚なのでしょうか?
この構築では緑マナの確保は問題たり得ない以上、9枚の青マナソースを含む60枚のデッキは順調に展開した場合、91.4%の確率で2UGのスペルを4ターン目にプレイすることができます。これは少いとは言いませんが、もう一声欲しいところです。11枚の青マナソースではこの確率は95.9%まで上昇しますが、これは過剰というものでしょう。付け加えておくと、この確率は先手が1マリガンしたあと、最低4枚の土地を引きその中に青マナソースが一つでも含まれている場合のものを算出しています。詳しくは私の過去の記事(https://www.channelfireball.com/articles/how-many-colored-mana-sources-do-you-need-to-consistently-cast-your-spells-a-guilds-of-ravnica-update/)を参照してください(リンク先は英語)。
私の計算では、青マナソース10枚というのがちょうどいいように思えます。つまり9枚の青マナを出す土地と、8枚の探検クリーチャーたちですね。これならX=2のハイドロイドを4ターン目にキャストできる確率は94%ですし、X=4を6ターン目ならば98.4%に達します。もちろん、ハイドロイドのXを小さくするのは最高のプランではないでしょう──可能なら4以上で唱えたいに決まっています──ですが、ミニ・ハイドロイドを唱えるべきときにそうできない、という事態は避けるに越したことはないのです。Anthonyのデッキをこの計算に合わせるとしたら、『愚蒙の記念像』と『島』を1枚ずつ減らし、『湿った墓』と『水没した地下墓地』を1枚ずつ加えるのが良いでしょう。こうすることで、4ターン目にハイドロイドとチュパカブラのどちらをも唱えられる態勢を整えられる確率を上げつつ、初手に『島』を引いてしまうリスクを無くすこともできます。1GGと2BBを含むデッキにおいては、基本土地を採用するリスクに見合うリターンがあるとは思えません。『暗殺者の戦利品』や『廃墟の地』が幅を利かせている環境というわけでもないのですから。
Jonathan Hobbsのバントフラッシュ
森 1
平地 1
繁殖池 4
氷河の城砦 4
神聖なる泉 4
内陸の湾港 3
天才の記念像 1
陽花弁の木立ち 4
寺院の庭 4
恩寵の天使 4
エリマキ神秘家 4
成長室の守護者 4
豊穣の声、シャライ 1
ドミナリアの英雄、テフェリー 2
ベナリア史 4
封じ込め 3
一瞬 1
薬術師の眼識 1
解任//開展 2
大集団の行進 1
残骸の漂着 2
呪文貫き 2
中略 2
万全//番人 1
サイドボード
拘留代理人 1
秋の騎士 3
不可解な終焉 1
押し潰す梢 2
軽蔑的な一撃 2
否認 2
黎明をもたらす者ライラ 1
豊穣の声、シャライ 1
次元の浄化 1
集団強制 1
『ベナリア史』と『エリマキ神秘家』を同じデッキに? 正気ですか? えー、この26枚のランドで白マナソースが17枚、青と緑マナはそれぞれ16枚確保できています。2枚採用されている『解任//開展』のドローを無視して──もっとも、これらはせいぜい土地0.5枚分程度にしかカウントできませんが──計算すると、3ターン目に『ベナリア史』を置ける確率は88.2%、4ターン目の『エリマキ神秘家』は81.2%しかありません。『平地』を4枚目の『内陸の湾港』に変えれば『ベナリア史』は84.7%、『エリマキ神秘家』は89.1%になります。これは総合的に見るとプラスでしょうが、私が最低限の安定性として求める90%には程遠い数字です。この構築はちょっと欲張りすぎと言わざるを得ません。おそらくは『ベナリア史』を外して、『秋の騎士』や『拘留代理人』を3マナ域として採用すべきでしょうね。
とは言え、私は彼が作り上げたこのデッキが豊富なインスタントタイミングのアクションを有していること、それによって相手に揺さぶりをかけるというアプローチ自体はとても気に入っています。『エリマキ神秘家』に気が行って『恩寵の天使』にシャクられる、『残骸の漂着』をケアすれば『封じ込め』される、といったように。相手が手控えたなら、『成長室の守護者』を育てればいいだけです。この基本戦略は、とてもパワフルです。
白ウイニータッチ青 Max Magnuson
平地 13
氷河の城砦 4
神聖なる泉 4
不屈の護衛 4
追われる証人 4
短角獣の歩哨 4
癒し手の鷹 1
徴税人 4
ベナリアの軍司令 4
拘留代理人 4
敬慕されるロクソドン 4
軍団の上陸 4
ベナリア史 4
議事会の裁き 1
不敗の陣形 1
サイドボード
トカートリの儀仗兵 3
不可解な終焉 3
否認 3
呪文貫き 2
暴君への敵対者、アジャニ 3
島 1
前環境では、白ウイニーにタッチする色としては『英雄的援軍』と『実験の狂乱』を有する赤が主流でした。しかし『神聖なる泉』と『拘留代理人』の登場により、新しいオプションとして青が浮上しています。しかし、8枚の青マナソースというのは『拘留代理人』をタッチするのに十分と言えるのでしょうか?
ご注意いただきたいのは、デッキ自体の土地の総数です。私がこの記事で用いる計算では"土地を3枚引いた場合に含まれる特定の色マナの数"が問題になるのですから、デッキ内の土地の数が少なければ少いほど、確率は上がるわけです。例として、24枚の土地に8枚の青マナソースが含まれる場合に3枚の土地から青マナが出る確率は33.3%なのに対し、土地21枚では38.1%まで上昇します。直感に反しますが、この計算方法ではそうなるのです。『軍団の上陸』もランドカウントに加えるべきだという意見も出てくるかもしれませんが、3ターン目に反転させるためには1マナクリーチャーが十分な枚数と、かつ相手が何もしてこないという条件が加わるので現実的とは思えません。
なんであれ、青マナ8枚というのが不十分なことに疑問の余地はなさそうです。土地21枚のデッキでは、3ターン目に『拘留代理人』を唱えられる確率は85.8%に過ぎません。『平地』を1枚『島』に替えることで89.6%まで上昇しますが、それによって『ベナリアの軍司令』をキャストできる確率を100%から94.1%まで下げるのは避けるべきでしょう。それだけの価値があるとは思えませんから。それに、2ターン目に1マナ+1マナと動く際にも『島』は邪魔になってしまいます。『アゾリウスのギルド門』は選択肢ですが、確定タップインはこのように低いマナカーブのデッキではかなり弱いカードになってしまいます。
結論として、3マナのカードを8枚のマナソースでタッチするのは4マナのカードをタッチするよりも遥かに難しい、と言わざるを得ないようです。『ゴブリンの鎖回し』を入れた赤単に『恐怖の劇場』だけをタッチするような構築も、避けたほうが無難でしょう。 もしも、サイドの『否認』や『呪文貫き』がどうしても必要だと感じ、かつ3ターン目に86%の確率で唱えられる『拘留代理人』が『アダントの先兵』や『議事会の裁き』よりも優れていると信じるのであれば、せめて『拘留代理人』の枚数は2枚か3枚に抑えておくべきです。こうすることで、
複数枚引いてしまうリスクを抑える方向に向かってください。そもそも、白ウイニーに3マナ域が12枚も必要だとは思えませんしね。
Nick Cowdenのエスパーコントロール
島 1
平地 1
沼 2
水没した地下墓地 4
氷河の城砦 4
神無き祭殿 3
神聖なる泉 4
孤立した礼拝堂 4
湿った墓 4
変遷の龍、クロミウム 1
ドミナリアの英雄、テフェリー 4
吸収 4
喪心 3
薬術師の眼識 1
渇望の時 1
屈辱 2
否認 1
予知覚3
中略 4
ヴラスカの侮辱 4
アズカンタの探索 2
ケイヤの怒り 3
サイドボード
正気泥棒 3
軽蔑的な一撃 1
渇望の時 3
否認 1
黎明をもたらす者ライラ 2
肉儀場の叫び 1
ケイヤの怒り 1
思考消去 3
『ケイヤの怒り』と『吸収』はコントロールプレイヤーへの大きなボーナスでしたが、この二枚を同じデッキで運用するのはなかなかハードと言えます。Nick Cowdenの27枚のマナベースでは、白マナソースが16枚、黒と青が17枚ずつです。2枚のアズカンタを抜きにして考えると──これらは合わせて0.5マナソースくらいのカウントでしょうが──『吸収』を3ターン目にプレイできる確率はわずか82.6%、『ケイヤの怒り』も82.2%にとどまります。これらの数字は私が考える基準を大きく下回っています。もちろんギルド門を足すことで改善はされますが、それによってタップインという新たな問題も浮上します。
私がこのデッキをいじるとすれば、サイドボードの『思考消去』3枚をメインボードへと移すでしょう。諜報で不要なカードを弾けるのは魅力的です。代わりに『島』、『喪心』、『中略』を1枚ずつ減らします。このマナベースと構築は7位入賞のエスパーコントロールのものに近くなります。それでもなお、『吸収』を3ターン目に唱えるのは簡単ではありませんから、おそらく3枚に減らすのがベストなのでしょうが、少なくとも『ケイヤの怒り』に関しては事態はかなり改善されます。
まとめ
・BGに『ハイドロイド混成体』をタッチするなら、10枚は青マナソースを入れましょう。こうすることで、2UGのスペルとして唱えなければならない状況にも対応できます。
・『ベナリア史』と『エリマキ神秘家』を同居させるのは、ショックランドとチェックランドをフル採用してもやはり欲張りであると言えます。CCDDサイクルのカードを安定してプレイするためには、各色のマナソースが17枚か18枚は必要(2CCや2DDのカードをキャストする際に必要な量を上回ります)なのですから、それらの色に対応しないマナしか産み出さない土地は採用するべきではないでしょう。『エリマキ神秘家』を採用するデッキからは平地を抜き、『ケイヤの怒り』を採用するデッキに島を入れるべきではないのです。
・8枚しか色マナソースが無いデッキに3マナ域をタッチするのは危険です。
・書き忘れていましたが、3色のミッドレンジを組もうとすうるならショックランド11枚、チェックランド9-10枚が目安の数字です。
私はこの記事内での計算を自分のシミュレーターで行いましたが、読者の皆さんも『mtgoncurve.com』(https://mtgoncurve.com/)というウェブサイトで簡単に行うことができます。これは素晴らしいツールでして、デッキリストを放り込むだけでデッキのそれぞれのカードをプレイできる確率を弾き出してくれます。ドローや諜報は考慮されないことにだけご注意を。私はこのサイトをRedditで知りました。マリガンとマリガン後の占術の取扱が少し違う都合で私の数字と
完全に一致はしませんが、誤差はごく微細な範囲に留まっており、問題になることは皆無でしょう。確率の計算はデッキ構築の根幹を成します。是非チェックしてみてください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
以上です。内容には全く関係ありませんが、スタンダードのカード名が覚えられません。
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スタンダード新環境が始まり、トーナメント結果が上がってきています。ラヴニカの献身の登場により、とうとう10種類のショックランドが勢揃いしました。このショックランド+チェックランドのマナベースはどこまで選択肢を広げさせてくれるのか? みなさん気になっていることと思います。その疑問に答えるため、今回は先週末インディアナポリスで開催されたSCGトーナメントのTop4デッキそれぞれのマナベースを分析してみましょう。
このトーナメントについてはビデオ/テキストそれぞれで素晴らしいカバレージが採られています。カバレージが全くオミットされた、ニュージャージーのマジックフェスタ内で行われたグランプリとは対照的です。しかしそれより尚悪いのは、そのGPではカバレージを採らない旨が、あるツイートへのリプライという形で初めて"アナウンス"されたことです。このイベント運営の方針転換とコミュニケーションの取り方、いずれも私には極めて残念なことです。長年私はカバレージライターとしてGPに携わってきました。最後にカバレージを担当したGPではデッキブレイクダウンを取り、Top8は1つのツイートに順次結果をぶら下げていくことで動向をたどりやすくしましたし、その他多くの情報を適宜アップデートしていきました。自分が参加できないイベントでも、熱心なカバレージスタッフが発信する情報の全てを誰もが、ほぼリアルタイムで受け取ることができたのです──こういったことが、マジックのイベントが素晴らしいものであると確信できる所以でした。そういう時代が終わってしまったのだとしたら、とても寂しいことです。
それはともかく、SCGのイベントにはカバレージがあるのですから、その運営を讃えようではありませんか。Top8に『批判家刺殺』も『荒野の再生』も全く姿を見せないのは少し意外でした──イベントの2日目、そしてMTGアリーナでは赤単とターボフォグをあれほど目にしたというのに! BO3とBO1が全く異なるフォーマットであるということが、改めて浮き彫りにされたということでしょうか。
さて、まずは優勝デッキから見ていくことにしましょう。
Anthony DevartiのBUGミッドレンジ
愚蒙の記念像 2
森林の墓地 4
草むした墓 4
沼 2
島 1
森 4
繁殖池 4
湿った墓 2
水没した地下墓地 1
ラノワールのエルフ 4
マーフォークの枝渡り 4
野茂み歩き 4
探求者の従者 1
翡翠光のレインジャー 4
貪欲なチュパカブラ 2
真夜中の死神 2
殺戮の暴君 2
ハイドロイド混成体 3
ビビアン・リード 3
喪心 2
ヴラスカの侮辱 2
採取//最終 3
サイドボード
肉儀場の叫び 3
最古再誕 2
若葉のドライアド 1
押し潰す梢 1
ヴラスカの侮辱 1
軽蔑的な一撃 1
否認 2
強迫 4
前環境では、間違いなくゴルガリミッドレンジが王者でした。そして、BGはひとまず王座を明け渡すつもりはないようです。たった一つの変化は、このデッキが今は青をタッチしているということでしょう。『ハイドロイド混成体』には、その価値があります。そして『繁殖池』が、それを可能ならしめています。優勝トロフィーをもたらすことになったデッキで、Anthonyは8枚の青マナソースを採用しています。『繁殖池』4枚、『湿った墓』2枚、『水没した地下墓地』1枚、『島』1枚。対して、8位と11位に入賞したBUGでは青マナソースは10枚採られています──4枚の『繁殖池』、『水没した地下墓地』と『湿った墓』3枚ずつ、『島』は不採用です。全てのリストで『マーフォークの枝渡り』と『翡翠光のレインジャー』が4枚ずつ採られていますから、これら8枚をざっくり1枚の青マナカウントとして計算しますと、それぞれ9枚の青マナソースと11枚の青マナソースを採用したデッキ、と言えますね。さて、安定してハイドロイドをプレイするために必要な青マナソースの数とは、いったい何枚なのでしょうか?
この構築では緑マナの確保は問題たり得ない以上、9枚の青マナソースを含む60枚のデッキは順調に展開した場合、91.4%の確率で2UGのスペルを4ターン目にプレイすることができます。これは少いとは言いませんが、もう一声欲しいところです。11枚の青マナソースではこの確率は95.9%まで上昇しますが、これは過剰というものでしょう。付け加えておくと、この確率は先手が1マリガンしたあと、最低4枚の土地を引きその中に青マナソースが一つでも含まれている場合のものを算出しています。詳しくは私の過去の記事(https://www.channelfireball.com/articles/how-many-colored-mana-sources-do-you-need-to-consistently-cast-your-spells-a-guilds-of-ravnica-update/)を参照してください(リンク先は英語)。
私の計算では、青マナソース10枚というのがちょうどいいように思えます。つまり9枚の青マナを出す土地と、8枚の探検クリーチャーたちですね。これならX=2のハイドロイドを4ターン目にキャストできる確率は94%ですし、X=4を6ターン目ならば98.4%に達します。もちろん、ハイドロイドのXを小さくするのは最高のプランではないでしょう──可能なら4以上で唱えたいに決まっています──ですが、ミニ・ハイドロイドを唱えるべきときにそうできない、という事態は避けるに越したことはないのです。Anthonyのデッキをこの計算に合わせるとしたら、『愚蒙の記念像』と『島』を1枚ずつ減らし、『湿った墓』と『水没した地下墓地』を1枚ずつ加えるのが良いでしょう。こうすることで、4ターン目にハイドロイドとチュパカブラのどちらをも唱えられる態勢を整えられる確率を上げつつ、初手に『島』を引いてしまうリスクを無くすこともできます。1GGと2BBを含むデッキにおいては、基本土地を採用するリスクに見合うリターンがあるとは思えません。『暗殺者の戦利品』や『廃墟の地』が幅を利かせている環境というわけでもないのですから。
Jonathan Hobbsのバントフラッシュ
森 1
平地 1
繁殖池 4
氷河の城砦 4
神聖なる泉 4
内陸の湾港 3
天才の記念像 1
陽花弁の木立ち 4
寺院の庭 4
恩寵の天使 4
エリマキ神秘家 4
成長室の守護者 4
豊穣の声、シャライ 1
ドミナリアの英雄、テフェリー 2
ベナリア史 4
封じ込め 3
一瞬 1
薬術師の眼識 1
解任//開展 2
大集団の行進 1
残骸の漂着 2
呪文貫き 2
中略 2
万全//番人 1
サイドボード
拘留代理人 1
秋の騎士 3
不可解な終焉 1
押し潰す梢 2
軽蔑的な一撃 2
否認 2
黎明をもたらす者ライラ 1
豊穣の声、シャライ 1
次元の浄化 1
集団強制 1
『ベナリア史』と『エリマキ神秘家』を同じデッキに? 正気ですか? えー、この26枚のランドで白マナソースが17枚、青と緑マナはそれぞれ16枚確保できています。2枚採用されている『解任//開展』のドローを無視して──もっとも、これらはせいぜい土地0.5枚分程度にしかカウントできませんが──計算すると、3ターン目に『ベナリア史』を置ける確率は88.2%、4ターン目の『エリマキ神秘家』は81.2%しかありません。『平地』を4枚目の『内陸の湾港』に変えれば『ベナリア史』は84.7%、『エリマキ神秘家』は89.1%になります。これは総合的に見るとプラスでしょうが、私が最低限の安定性として求める90%には程遠い数字です。この構築はちょっと欲張りすぎと言わざるを得ません。おそらくは『ベナリア史』を外して、『秋の騎士』や『拘留代理人』を3マナ域として採用すべきでしょうね。
とは言え、私は彼が作り上げたこのデッキが豊富なインスタントタイミングのアクションを有していること、それによって相手に揺さぶりをかけるというアプローチ自体はとても気に入っています。『エリマキ神秘家』に気が行って『恩寵の天使』にシャクられる、『残骸の漂着』をケアすれば『封じ込め』される、といったように。相手が手控えたなら、『成長室の守護者』を育てればいいだけです。この基本戦略は、とてもパワフルです。
白ウイニータッチ青 Max Magnuson
平地 13
氷河の城砦 4
神聖なる泉 4
不屈の護衛 4
追われる証人 4
短角獣の歩哨 4
癒し手の鷹 1
徴税人 4
ベナリアの軍司令 4
拘留代理人 4
敬慕されるロクソドン 4
軍団の上陸 4
ベナリア史 4
議事会の裁き 1
不敗の陣形 1
サイドボード
トカートリの儀仗兵 3
不可解な終焉 3
否認 3
呪文貫き 2
暴君への敵対者、アジャニ 3
島 1
前環境では、白ウイニーにタッチする色としては『英雄的援軍』と『実験の狂乱』を有する赤が主流でした。しかし『神聖なる泉』と『拘留代理人』の登場により、新しいオプションとして青が浮上しています。しかし、8枚の青マナソースというのは『拘留代理人』をタッチするのに十分と言えるのでしょうか?
ご注意いただきたいのは、デッキ自体の土地の総数です。私がこの記事で用いる計算では"土地を3枚引いた場合に含まれる特定の色マナの数"が問題になるのですから、デッキ内の土地の数が少なければ少いほど、確率は上がるわけです。例として、24枚の土地に8枚の青マナソースが含まれる場合に3枚の土地から青マナが出る確率は33.3%なのに対し、土地21枚では38.1%まで上昇します。直感に反しますが、この計算方法ではそうなるのです。『軍団の上陸』もランドカウントに加えるべきだという意見も出てくるかもしれませんが、3ターン目に反転させるためには1マナクリーチャーが十分な枚数と、かつ相手が何もしてこないという条件が加わるので現実的とは思えません。
なんであれ、青マナ8枚というのが不十分なことに疑問の余地はなさそうです。土地21枚のデッキでは、3ターン目に『拘留代理人』を唱えられる確率は85.8%に過ぎません。『平地』を1枚『島』に替えることで89.6%まで上昇しますが、それによって『ベナリアの軍司令』をキャストできる確率を100%から94.1%まで下げるのは避けるべきでしょう。それだけの価値があるとは思えませんから。それに、2ターン目に1マナ+1マナと動く際にも『島』は邪魔になってしまいます。『アゾリウスのギルド門』は選択肢ですが、確定タップインはこのように低いマナカーブのデッキではかなり弱いカードになってしまいます。
結論として、3マナのカードを8枚のマナソースでタッチするのは4マナのカードをタッチするよりも遥かに難しい、と言わざるを得ないようです。『ゴブリンの鎖回し』を入れた赤単に『恐怖の劇場』だけをタッチするような構築も、避けたほうが無難でしょう。 もしも、サイドの『否認』や『呪文貫き』がどうしても必要だと感じ、かつ3ターン目に86%の確率で唱えられる『拘留代理人』が『アダントの先兵』や『議事会の裁き』よりも優れていると信じるのであれば、せめて『拘留代理人』の枚数は2枚か3枚に抑えておくべきです。こうすることで、
複数枚引いてしまうリスクを抑える方向に向かってください。そもそも、白ウイニーに3マナ域が12枚も必要だとは思えませんしね。
Nick Cowdenのエスパーコントロール
島 1
平地 1
沼 2
水没した地下墓地 4
氷河の城砦 4
神無き祭殿 3
神聖なる泉 4
孤立した礼拝堂 4
湿った墓 4
変遷の龍、クロミウム 1
ドミナリアの英雄、テフェリー 4
吸収 4
喪心 3
薬術師の眼識 1
渇望の時 1
屈辱 2
否認 1
予知覚3
中略 4
ヴラスカの侮辱 4
アズカンタの探索 2
ケイヤの怒り 3
サイドボード
正気泥棒 3
軽蔑的な一撃 1
渇望の時 3
否認 1
黎明をもたらす者ライラ 2
肉儀場の叫び 1
ケイヤの怒り 1
思考消去 3
『ケイヤの怒り』と『吸収』はコントロールプレイヤーへの大きなボーナスでしたが、この二枚を同じデッキで運用するのはなかなかハードと言えます。Nick Cowdenの27枚のマナベースでは、白マナソースが16枚、黒と青が17枚ずつです。2枚のアズカンタを抜きにして考えると──これらは合わせて0.5マナソースくらいのカウントでしょうが──『吸収』を3ターン目にプレイできる確率はわずか82.6%、『ケイヤの怒り』も82.2%にとどまります。これらの数字は私が考える基準を大きく下回っています。もちろんギルド門を足すことで改善はされますが、それによってタップインという新たな問題も浮上します。
私がこのデッキをいじるとすれば、サイドボードの『思考消去』3枚をメインボードへと移すでしょう。諜報で不要なカードを弾けるのは魅力的です。代わりに『島』、『喪心』、『中略』を1枚ずつ減らします。このマナベースと構築は7位入賞のエスパーコントロールのものに近くなります。それでもなお、『吸収』を3ターン目に唱えるのは簡単ではありませんから、おそらく3枚に減らすのがベストなのでしょうが、少なくとも『ケイヤの怒り』に関しては事態はかなり改善されます。
まとめ
・BGに『ハイドロイド混成体』をタッチするなら、10枚は青マナソースを入れましょう。こうすることで、2UGのスペルとして唱えなければならない状況にも対応できます。
・『ベナリア史』と『エリマキ神秘家』を同居させるのは、ショックランドとチェックランドをフル採用してもやはり欲張りであると言えます。CCDDサイクルのカードを安定してプレイするためには、各色のマナソースが17枚か18枚は必要(2CCや2DDのカードをキャストする際に必要な量を上回ります)なのですから、それらの色に対応しないマナしか産み出さない土地は採用するべきではないでしょう。『エリマキ神秘家』を採用するデッキからは平地を抜き、『ケイヤの怒り』を採用するデッキに島を入れるべきではないのです。
・8枚しか色マナソースが無いデッキに3マナ域をタッチするのは危険です。
・書き忘れていましたが、3色のミッドレンジを組もうとすうるならショックランド11枚、チェックランド9-10枚が目安の数字です。
私はこの記事内での計算を自分のシミュレーターで行いましたが、読者の皆さんも『mtgoncurve.com』(https://mtgoncurve.com/)というウェブサイトで簡単に行うことができます。これは素晴らしいツールでして、デッキリストを放り込むだけでデッキのそれぞれのカードをプレイできる確率を弾き出してくれます。ドローや諜報は考慮されないことにだけご注意を。私はこのサイトをRedditで知りました。マリガンとマリガン後の占術の取扱が少し違う都合で私の数字と
完全に一致はしませんが、誤差はごく微細な範囲に留まっており、問題になることは皆無でしょう。確率の計算はデッキ構築の根幹を成します。是非チェックしてみてください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
以上です。内容には全く関係ありませんが、スタンダードのカード名が覚えられません。
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