【翻訳】クレイグ・ウェスコーの青白デスタクデッキガイド【モダン】
2018年3月12日 翻訳 TCGPlayerより、ウェスコー兄貴の記事(http://magic.tcgplayer.com/db/article.asp?ID=14495&writer=Craig+Wescoe&articledate=3-9-2018)の翻訳です。原文も御覧ください。
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3月2日から4日にかけて、MOCS決勝が行われた。馴染みのない人のために噛み砕いて言うと、世界選手権のMOバージョンみたいなものだね。参加するのは今年が初めてだったけれど、9位という成績を残すことができた──トップ4まで、あと1勝という位置だった。
持ち込むデッキを決めてから、そのデッキを100マッチ以上回して大会に臨んだ。モダンラウンドの成績は4-4で、トロンがまったくいなかった以外はほぼ予想通りのメタ分布だったね。これからのモダンGPはこの大会の結果よりもMOリーグの結果に近いメタになっていくはずだから、もし自分が参加するとしても今のリストから1枚たりとも変えたりはしない。普段は大会のあとで1枚くらいは入れ替えたくなってるものなんだけど、今回は例外。ジャンドのシェアが10%を上回りそうだっていうのなら話は別だけど。
青白デスアンドタックス
クレイグ・ウェスコ―
3 聖トラフトの霊
4 レオニンの裁き人
4 スレイベンの守護者、サリア
3 修復の天使
4 呪文捕らえ
3 ミラディンの十字軍
2 無私の霊魂
1 異端聖戦士、サリア
4 霊気の薬瓶
4 血清の幻視
4 流刑への道
1 清浄の名誉
4 神聖な泉
4 幽霊街
4 地平線の梢
4 金属海の沿岸
3 アダーカー荒原
1 廃墟の地
2 平地
1 島
4 ブレンタンの炉の世話人
1 聖トラフトの霊
1 墓掘りの檻
1 ミラディンの十字軍
1 反射魔道士
1 安らかなる眠り
3 石のような静寂
3 外科的摘出
構築中に最後まで迷ったのは、アダーカー荒原と地平線の梢のどちらを4枚にするかだった。結局、青マナは12枚で十分供給できるし、ジェイスや血編みデッキに対して後半リソースになってくれる地平線の梢を優先したわけだけど、この判断は正解だったと思う。
このリストを目にしたみんなの反応からして、血清の幻視が採用されている理由が一番理解が難しい部分のようだから、まずはそこを解説しておこう。このデッキはまず、レオニンの裁き人かサリアを2ターン目に着地させることを第一目標としている。それを達成させるためにベストなカードが、1ターン目の血清の幻視なんだ。アンタップインする青マナソースが12枚準備されていることを考えれば、初手にある血清の幻視を1ターン目にキャストできる確率は高い。また序盤以降、サリアが戦場にいる状態で血清の幻視をプレイするのは、クリーチャーを全てプレイしてしまってハンドが枯れているときだけだ。そのころには土地が余っているだろうし、それをリソースの確保に使うのはちょうど地平線の梢をサクるのと同じで、どのみちこのデッキがゲームのその段階でやりたいことだ。つまり、血清の幻視は最序盤にはセットアップの役に立ち、後半にはリソースを再供給してくれるというわけ。血清の幻視の存在が、青を足すことの大きな理由の一つだ。
呪文捕らえとトラフトの存在も、青を足す大きなあと押しになった。トラフとは青絡みの(神ジェイスを採用した)コントロールに対して強く、トロンやコンボデッキに対しては強烈なクロックを刻んでくれる。呪文捕らえは、太陽の王冠や忘却石、至高の評決といったカードに対する素晴らしい回答になる。清浄の名誉があれば、稲妻で落ちなくなるしね。
青いパーツ以外はおなじみのデスタクパッケージだ。マナを縛ってスピードダウンさせながら、素早いクロックをかけていく。展開と妨害の両立を可能ならしめているのは、霊気の薬瓶だ。速攻を基本としているけれど、4枚ずつ採用された血清の幻視と地平線の梢のおかげで消耗戦もこなすことができる。クリーチャーたちはどれも単体でしっかりクロックを刻んでくれるし、除去を躱しブロッカーを飛び越えていくこともできる。防御にも攻撃にも使えるカードばかりだから、相手に合わせて立ち回れる柔軟性があるんだ。
個別マッチアップ/サイドボードガイド
4 ブレンタンの炉の世話人
バーンにはもちろんのこと、稲妻や神々の憤怒をプレイしてくるすべての相手に対して強い。スケープシフト、バーン、ジャンド、親和(鞭打ち炎と感電破)、さらに稲妻を擁するジェイスコントロールデッキに対してサイドインする。
3 石のような静寂
トロン、親和、ランタン、アイアンワークスコンボ、人間、マーフォークに対してサイドインする。その際、霊気の薬瓶は抜いておくこと。
3 外科的摘出
スケープシフトやトロンに対して、土地破壊と組み合わせてキーとなる土地を根絶やしにするのに使う。ホロウワン、ドレッジ、リアニメイトなどの墓地デッキに対してももちろんサイドインする。
1 墓掘りの檻
墓地デッキと集合した中隊デッキに。墓地デッキだけど、リビングエンド相手には入れてはいけない(止まらないからね)。もしもジャンドや死の影が増えて、ホロウワンや中隊が減ると読んだのなら、この枠は2枚めの安らかなる眠りに入れ替えても良いだろう。
1 安らかなる眠り
墓地デッキと、タルモゴイフデッキ相手にもサイドインする。個人的にはグリクシスや渋面の溶岩使いをサイドインしてくるであろう相手にはサイドインしていいと思っている。バーンも含めてね(灼熱の血で本体ダメージを受けずに済むというボーナスもある)。
1 反射魔道士
追加の除去が欲しいマッチアップで入れよう。修復の天使とのシナジーは最高だ。
1 ミラディンの十字軍
ジャンド、ボーグル、ホロウワン、死の影、アブザンカンパニーといった緑か黒絡みの相手ならどんなときでも仕事をしてくれる。
1 聖トラフトの霊
ジェイスコントロール、トロン、スペルを中心としたコンボデッキ相手に。先手ならあらゆるマッチアップで入れてもいいくらいだ。
さて、それではよく発生するマッチアップについて、プレイ方針とサイドプランをみていこう。
・ジェイスコントロール
グリクシス
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+1 ミラディンの十字軍
+1 聖トラフトの霊
-4 霊気の薬瓶
-1 血清の幻視
-2 流刑への道
ジェスカイ
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+1 聖トラフトの霊
-1 血清の幻視
-2 流刑への道
-3 ミラディンの十字軍
青白コントロール
+1 聖トラフトの霊
+1 ミラディンの十字軍
-2 流刑への道
青赤コントロール
+1 聖トラフトの霊
+4 ブレンタンの炉の世話人
-3 ミラディンの十字軍
-1 異端聖戦士、サリア
-1 流刑への道 (氷の中の存在を採用していない相手の場合)
グリクシス相手の場合、コラガンの命令がある以上霊気の薬瓶は他のコントロール相手のときよりも信頼度は下がる。それ以外のコントロール三種に対しては、薬瓶はデッキ最高のカードだ。カウンターを躱し、相手のエンドにクリーチャーを着地させ、毎ターン2回行動を取ることで莫大なマナアドバンテージを稼いでくれる。また、薬瓶がある限り更地でもジェイスにプレッシャーをかけられる。
総じて、コントロール相手にはかなり有利といえる。テストでは、15マッチを通じて勝率は73%だった。本戦では1勝1敗。トラフトの呪禁と、無私の霊魂のスイーパーへの対応がこのマッチアップでは大きい。トラフトでアタックする際には瞬唱の魔道士に注意すること。また赤絡み相手には、清浄の名誉が呪文捕らえを稲妻や神々の憤怒の射程圏外へ逃してくれることを憶えておこう。
トロン
+3 外科的摘出
+3 石のような静寂
+1 反射魔道士
+1 聖トラフトの霊
-2 流刑への道
-1 清浄の名誉
-1 ミラディンの十字軍
-4 霊気の薬瓶
テストを通じて、もっとも勝率が良かったマッチアップだ。11マッチやって勝率は91%。しょっちゅう接戦になるんだけれど、最後には勝っている。こちらはトロンを多角的に攻めることができる──ウルザ土地が集まることを防ぐ幽霊街と廃墟の地、レオニンの裁き人は単体でも探検の地図や森の占術を止めてくれるが土地破壊と組み合わさればゲームエンド級だ。呪文捕らえはクロックを追加しつつ土地サーチや忘却石を止めてくれる。トラフトは最速のクロックで、修復の天使はカーンに狙われたクリーチャーを守りつつ、返しでカーンを落とせる。両サリアはトロンを大きくスピードダウンさせ、無私の霊魂は忘却石を「カウンター」してくれる。流刑への道はワームとぐろエンジン、世界を壊すもの、ウラモグへの素晴らしい回答になる。
サイド後は石のような静寂で忘却石と歩行バリスタを始めとする相手のアーティファクトをすべて無力化できる。土地破壊後の外科的摘出が決まれば、トロンランドが絶対に揃わない相手はフェアにプレイするしかない。フェアなゲームならば、こちらのほうが上回る。
ジャンド
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+1 聖トラフトの霊
+1 ミラディンの十字軍
+1 反射魔道士
-4 霊気の薬瓶
-4 呪文捕らえ
環境トップに位置するデッキたちの中では、もっとも難しいマッチアップだろう。テストでは8マッチを通じて勝率はちょうど50%だったが、本戦では1度当たって敗れている。五分~微不利といったところかな。相性差を改善するならば無私の霊魂と3マナサリアを前兆の壁と入れ替えるのが良いんだけれど、そうするとコントロールやトロン相手には少し弱くなるのが難点。
血編み髪のエルフに対してサリアが非常に良い働きをしてくれる。先制攻撃でアタックを防ぎ、続唱されたスペルがクリーチャーでなければ追加のマナを要求するのだ。ミラディンの十字軍は稲妻以外の全呪文に対して強い。ミラディンの十字軍を着地させる前に稲妻を使わせるか、無私の霊魂かブレンタンの炉の世話人で守れる形にしてから着地させたいところだ。呪文捕らえはだいたいプレイされたターンかその次には死ぬから、あまり仕事がない。素直にサイドアウトしよう。薬瓶もコラガンの命令で割られてしまうし、基本的に消耗戦になるこのマッチアップでトップデッキしてしまうと最悪なので抜いてしまう。清浄の名誉は(メイン戦では)呪文捕らえを稲妻圏外まで逃がし、サイド後はサリアや無私の霊魂を最後の望み、リリアナから、ミラディンの十字軍を渋面の溶岩使いから、そしてレオニンの裁き人をコラガンの命令から守ってくれる。だから決してサイドアウトしてはいけない──そうしたくなる気持ちもわかるけどね!
バーン
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+1 反射魔道士
-3 ミラディンの十字軍
-1 異端聖戦士、サリア
-1 地平線の梢
-1 修復の天使
テストでは6マッチを通じて83%の勝率、本戦でも1度当たって勝利しているマッチアップ。数字ほどガン有利だという感じはしないけれど、有利には違いない。相手は土地を切り詰めていて半分はフェッチだから、レオニンの裁き人が色マナ(白マナ)を縛ってくれるだろうし、幽霊街を引けば相手は土地が1枚以下の状態で闘うことを強いられるだろう。同じ理由でサリアも強い。無私の霊魂、呪文捕らえ、修復の天使がこいつらを守ってくれる。流刑への道は大歓楽の幻霊を始めとしたクリーチャーたちへのいい回答になるだろう。
サイド後は、ブレンタンの炉の世話人が最高に輝く。地上を止め、火力をカウンターしてと大活躍だ。軽減に対応しての頭蓋割りには気をつけておく必要があるが、そこでテンポを取れるのはどのみち大きい。
ボーグル
+1 ミラディンの十字軍
+1 反射魔道士
-1 異端聖戦士、サリア
-1 清浄の名誉
ボーグルに対してのプランを用意していた参加者は他にいなかったような気がしてならない。テストでは5マッチで勝率は60%、本戦では1度対峙して倒している。テスト段階で撹乱する群れを採用していた時期には1ターン目のぬめるボーグルをピッチで打ち消すことができて更に有利だったんだけれど、それなしでも概ね有利だろう。バーンと同じくスペルまみれで、バーンと同じく土地を切り詰めているボーグルはサリアに弱い。呪文捕らえはよく夜明けの宝冠を捕らえている。呪禁もちについてしまうと非常に対処が難しいこのカードを相手がプレイできるなら、呪文捕らえは常に構えていなければならない。霊気の薬瓶があれば構えつつ展開できるので、だいぶ楽になるだろう。
ボーグルを狙い撃つサイドカードは用意していない。メインボードの構成的に十分有利だからね。ミラディンの十字軍のプロテクションは、ブロックが可能なうちは地上は止め続けられることを意味している。そして相手側は十字軍を止められない。除去を全て残し、反射魔道士をサイドインする理由は相手が呪禁クリーチャーを引けずにコーの精霊の踊り手にオールインするプランを採ってきたときに負けないようにするためだ。ドライアドの東屋には幽霊街でも対処できるが、踊り手には流刑か反射魔道士が必要なのだ。
ホロウワン
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+3 外科的摘出
+1 墓掘りの檻
+1 ミラディンの十字軍
+1 反射魔道士
-3 聖トラフトの霊
-3 修復の天使
-4 血清の幻視
-1 地平線の梢
後手の場合は血清の幻視を残して薬瓶を抜いても良いと思うけれど、どちらが正しいか確信が持てずにいる。先手ならば薬瓶のほうが絶対に強い。
テストでの勝率は5マッチを通じて40%、本戦では最終戦を落とした相手だ。正直当たりたくない相手だが、勝てないわけではない。BR型とRG型があるが、BRのほうがキツい。どちらの型が相手にせよ墓地対策は十分取ってあるし、ミラディンの十字軍も仕事はしてくれるだろう。フェッチ+ショック、通りの悪霊のサイクリングで相手はどんどんダメージを受けるから、実質こちらが削らなければならないライフは12点くらいであることが多い。先制攻撃がとても便利で、流刑への道が時間を稼いでくれるだろう。相手がベストドローをしてきたら、こちらがやれることは多くない。しかし90点くらいのドローであれば闘いようはある。また下振れも発生しうるデッキなので、サリアや裁き人がロックするパターンも含めれば、結構な勝ちを拾えるだろう。
死の影
+1 聖トラフトの霊
+1 安らかなる眠り
+1 反射魔道士
+1 ミラディンの十字軍
-4 血清の幻視
本戦には死の影はいなかったけれど、テストでは5回当たって勝率は40%だった。五分のマッチアップといえる。最後の望み、リリアナやイゼットの静電術士避けに清浄の名誉は残しておく。ケアするべきなのはミラディンの十字軍をヴェールのリリアナで処理されないようにすること、そしてティムールの激闘だ。頑固な否認でカウンターされない呪文捕らえが鍵となる呪文を無効化できれば有利になる。問題は相手のハンデスでプランをズタズタにされてしまうことだけれど、デッキの構成上トップに有効牌がある可能性は高いのでまあなんとかなるだろう。特に先手ならば、レオニンの裁き人とサリアでゆっくりしたゲーム展開に持っていける。
テストでは40種類近くのデッキと対戦した。その全てを個別に取り扱うことはできないけれど、負け越したものがなかったということだけは伝えておこう。
ポンザ、トライバルズー、青緑のジェイス/タルモデッキに対しては67%、人間、赤緑エルドラージ、マーフォークとナヤには50%、そしてスケープシフト、リビングエンド、ドレッジ、マルドゥパイロ、エスパーオブゼダート、グリショールブランド、赤緑信心、8ラック、魂剥ぎ、感染、
エルドラージタックス、ゴブリン、黒単氷雪、スゥルタイには100%の勝率だった。
親和とはプレイしていなかったが、五分か少し有利程度の相性だろう。
ほぼすべての相手に対して最低でも五分の勝負ができ、かつ対応しすぎないデッキを探しているのなら、このデッキがおすすめだ。これが現在のメタゲームにおいては、デスタクのバリエーションで一番優れていると、自信をもっているよ。
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以上です。このリストを目にしたPVがツイッターで思いっきり眉をひそめていて笑いました。でも面白そうなデッキなのでコピーして回してみたいです。
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3月2日から4日にかけて、MOCS決勝が行われた。馴染みのない人のために噛み砕いて言うと、世界選手権のMOバージョンみたいなものだね。参加するのは今年が初めてだったけれど、9位という成績を残すことができた──トップ4まで、あと1勝という位置だった。
持ち込むデッキを決めてから、そのデッキを100マッチ以上回して大会に臨んだ。モダンラウンドの成績は4-4で、トロンがまったくいなかった以外はほぼ予想通りのメタ分布だったね。これからのモダンGPはこの大会の結果よりもMOリーグの結果に近いメタになっていくはずだから、もし自分が参加するとしても今のリストから1枚たりとも変えたりはしない。普段は大会のあとで1枚くらいは入れ替えたくなってるものなんだけど、今回は例外。ジャンドのシェアが10%を上回りそうだっていうのなら話は別だけど。
青白デスアンドタックス
クレイグ・ウェスコ―
3 聖トラフトの霊
4 レオニンの裁き人
4 スレイベンの守護者、サリア
3 修復の天使
4 呪文捕らえ
3 ミラディンの十字軍
2 無私の霊魂
1 異端聖戦士、サリア
4 霊気の薬瓶
4 血清の幻視
4 流刑への道
1 清浄の名誉
4 神聖な泉
4 幽霊街
4 地平線の梢
4 金属海の沿岸
3 アダーカー荒原
1 廃墟の地
2 平地
1 島
4 ブレンタンの炉の世話人
1 聖トラフトの霊
1 墓掘りの檻
1 ミラディンの十字軍
1 反射魔道士
1 安らかなる眠り
3 石のような静寂
3 外科的摘出
構築中に最後まで迷ったのは、アダーカー荒原と地平線の梢のどちらを4枚にするかだった。結局、青マナは12枚で十分供給できるし、ジェイスや血編みデッキに対して後半リソースになってくれる地平線の梢を優先したわけだけど、この判断は正解だったと思う。
このリストを目にしたみんなの反応からして、血清の幻視が採用されている理由が一番理解が難しい部分のようだから、まずはそこを解説しておこう。このデッキはまず、レオニンの裁き人かサリアを2ターン目に着地させることを第一目標としている。それを達成させるためにベストなカードが、1ターン目の血清の幻視なんだ。アンタップインする青マナソースが12枚準備されていることを考えれば、初手にある血清の幻視を1ターン目にキャストできる確率は高い。また序盤以降、サリアが戦場にいる状態で血清の幻視をプレイするのは、クリーチャーを全てプレイしてしまってハンドが枯れているときだけだ。そのころには土地が余っているだろうし、それをリソースの確保に使うのはちょうど地平線の梢をサクるのと同じで、どのみちこのデッキがゲームのその段階でやりたいことだ。つまり、血清の幻視は最序盤にはセットアップの役に立ち、後半にはリソースを再供給してくれるというわけ。血清の幻視の存在が、青を足すことの大きな理由の一つだ。
呪文捕らえとトラフトの存在も、青を足す大きなあと押しになった。トラフとは青絡みの(神ジェイスを採用した)コントロールに対して強く、トロンやコンボデッキに対しては強烈なクロックを刻んでくれる。呪文捕らえは、太陽の王冠や忘却石、至高の評決といったカードに対する素晴らしい回答になる。清浄の名誉があれば、稲妻で落ちなくなるしね。
青いパーツ以外はおなじみのデスタクパッケージだ。マナを縛ってスピードダウンさせながら、素早いクロックをかけていく。展開と妨害の両立を可能ならしめているのは、霊気の薬瓶だ。速攻を基本としているけれど、4枚ずつ採用された血清の幻視と地平線の梢のおかげで消耗戦もこなすことができる。クリーチャーたちはどれも単体でしっかりクロックを刻んでくれるし、除去を躱しブロッカーを飛び越えていくこともできる。防御にも攻撃にも使えるカードばかりだから、相手に合わせて立ち回れる柔軟性があるんだ。
個別マッチアップ/サイドボードガイド
4 ブレンタンの炉の世話人
バーンにはもちろんのこと、稲妻や神々の憤怒をプレイしてくるすべての相手に対して強い。スケープシフト、バーン、ジャンド、親和(鞭打ち炎と感電破)、さらに稲妻を擁するジェイスコントロールデッキに対してサイドインする。
3 石のような静寂
トロン、親和、ランタン、アイアンワークスコンボ、人間、マーフォークに対してサイドインする。その際、霊気の薬瓶は抜いておくこと。
3 外科的摘出
スケープシフトやトロンに対して、土地破壊と組み合わせてキーとなる土地を根絶やしにするのに使う。ホロウワン、ドレッジ、リアニメイトなどの墓地デッキに対してももちろんサイドインする。
1 墓掘りの檻
墓地デッキと集合した中隊デッキに。墓地デッキだけど、リビングエンド相手には入れてはいけない(止まらないからね)。もしもジャンドや死の影が増えて、ホロウワンや中隊が減ると読んだのなら、この枠は2枚めの安らかなる眠りに入れ替えても良いだろう。
1 安らかなる眠り
墓地デッキと、タルモゴイフデッキ相手にもサイドインする。個人的にはグリクシスや渋面の溶岩使いをサイドインしてくるであろう相手にはサイドインしていいと思っている。バーンも含めてね(灼熱の血で本体ダメージを受けずに済むというボーナスもある)。
1 反射魔道士
追加の除去が欲しいマッチアップで入れよう。修復の天使とのシナジーは最高だ。
1 ミラディンの十字軍
ジャンド、ボーグル、ホロウワン、死の影、アブザンカンパニーといった緑か黒絡みの相手ならどんなときでも仕事をしてくれる。
1 聖トラフトの霊
ジェイスコントロール、トロン、スペルを中心としたコンボデッキ相手に。先手ならあらゆるマッチアップで入れてもいいくらいだ。
さて、それではよく発生するマッチアップについて、プレイ方針とサイドプランをみていこう。
・ジェイスコントロール
グリクシス
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+1 ミラディンの十字軍
+1 聖トラフトの霊
-4 霊気の薬瓶
-1 血清の幻視
-2 流刑への道
ジェスカイ
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+1 聖トラフトの霊
-1 血清の幻視
-2 流刑への道
-3 ミラディンの十字軍
青白コントロール
+1 聖トラフトの霊
+1 ミラディンの十字軍
-2 流刑への道
青赤コントロール
+1 聖トラフトの霊
+4 ブレンタンの炉の世話人
-3 ミラディンの十字軍
-1 異端聖戦士、サリア
-1 流刑への道 (氷の中の存在を採用していない相手の場合)
グリクシス相手の場合、コラガンの命令がある以上霊気の薬瓶は他のコントロール相手のときよりも信頼度は下がる。それ以外のコントロール三種に対しては、薬瓶はデッキ最高のカードだ。カウンターを躱し、相手のエンドにクリーチャーを着地させ、毎ターン2回行動を取ることで莫大なマナアドバンテージを稼いでくれる。また、薬瓶がある限り更地でもジェイスにプレッシャーをかけられる。
総じて、コントロール相手にはかなり有利といえる。テストでは、15マッチを通じて勝率は73%だった。本戦では1勝1敗。トラフトの呪禁と、無私の霊魂のスイーパーへの対応がこのマッチアップでは大きい。トラフトでアタックする際には瞬唱の魔道士に注意すること。また赤絡み相手には、清浄の名誉が呪文捕らえを稲妻や神々の憤怒の射程圏外へ逃してくれることを憶えておこう。
トロン
+3 外科的摘出
+3 石のような静寂
+1 反射魔道士
+1 聖トラフトの霊
-2 流刑への道
-1 清浄の名誉
-1 ミラディンの十字軍
-4 霊気の薬瓶
テストを通じて、もっとも勝率が良かったマッチアップだ。11マッチやって勝率は91%。しょっちゅう接戦になるんだけれど、最後には勝っている。こちらはトロンを多角的に攻めることができる──ウルザ土地が集まることを防ぐ幽霊街と廃墟の地、レオニンの裁き人は単体でも探検の地図や森の占術を止めてくれるが土地破壊と組み合わさればゲームエンド級だ。呪文捕らえはクロックを追加しつつ土地サーチや忘却石を止めてくれる。トラフトは最速のクロックで、修復の天使はカーンに狙われたクリーチャーを守りつつ、返しでカーンを落とせる。両サリアはトロンを大きくスピードダウンさせ、無私の霊魂は忘却石を「カウンター」してくれる。流刑への道はワームとぐろエンジン、世界を壊すもの、ウラモグへの素晴らしい回答になる。
サイド後は石のような静寂で忘却石と歩行バリスタを始めとする相手のアーティファクトをすべて無力化できる。土地破壊後の外科的摘出が決まれば、トロンランドが絶対に揃わない相手はフェアにプレイするしかない。フェアなゲームならば、こちらのほうが上回る。
ジャンド
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+1 聖トラフトの霊
+1 ミラディンの十字軍
+1 反射魔道士
-4 霊気の薬瓶
-4 呪文捕らえ
環境トップに位置するデッキたちの中では、もっとも難しいマッチアップだろう。テストでは8マッチを通じて勝率はちょうど50%だったが、本戦では1度当たって敗れている。五分~微不利といったところかな。相性差を改善するならば無私の霊魂と3マナサリアを前兆の壁と入れ替えるのが良いんだけれど、そうするとコントロールやトロン相手には少し弱くなるのが難点。
血編み髪のエルフに対してサリアが非常に良い働きをしてくれる。先制攻撃でアタックを防ぎ、続唱されたスペルがクリーチャーでなければ追加のマナを要求するのだ。ミラディンの十字軍は稲妻以外の全呪文に対して強い。ミラディンの十字軍を着地させる前に稲妻を使わせるか、無私の霊魂かブレンタンの炉の世話人で守れる形にしてから着地させたいところだ。呪文捕らえはだいたいプレイされたターンかその次には死ぬから、あまり仕事がない。素直にサイドアウトしよう。薬瓶もコラガンの命令で割られてしまうし、基本的に消耗戦になるこのマッチアップでトップデッキしてしまうと最悪なので抜いてしまう。清浄の名誉は(メイン戦では)呪文捕らえを稲妻圏外まで逃がし、サイド後はサリアや無私の霊魂を最後の望み、リリアナから、ミラディンの十字軍を渋面の溶岩使いから、そしてレオニンの裁き人をコラガンの命令から守ってくれる。だから決してサイドアウトしてはいけない──そうしたくなる気持ちもわかるけどね!
バーン
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+1 反射魔道士
-3 ミラディンの十字軍
-1 異端聖戦士、サリア
-1 地平線の梢
-1 修復の天使
テストでは6マッチを通じて83%の勝率、本戦でも1度当たって勝利しているマッチアップ。数字ほどガン有利だという感じはしないけれど、有利には違いない。相手は土地を切り詰めていて半分はフェッチだから、レオニンの裁き人が色マナ(白マナ)を縛ってくれるだろうし、幽霊街を引けば相手は土地が1枚以下の状態で闘うことを強いられるだろう。同じ理由でサリアも強い。無私の霊魂、呪文捕らえ、修復の天使がこいつらを守ってくれる。流刑への道は大歓楽の幻霊を始めとしたクリーチャーたちへのいい回答になるだろう。
サイド後は、ブレンタンの炉の世話人が最高に輝く。地上を止め、火力をカウンターしてと大活躍だ。軽減に対応しての頭蓋割りには気をつけておく必要があるが、そこでテンポを取れるのはどのみち大きい。
ボーグル
+1 ミラディンの十字軍
+1 反射魔道士
-1 異端聖戦士、サリア
-1 清浄の名誉
ボーグルに対してのプランを用意していた参加者は他にいなかったような気がしてならない。テストでは5マッチで勝率は60%、本戦では1度対峙して倒している。テスト段階で撹乱する群れを採用していた時期には1ターン目のぬめるボーグルをピッチで打ち消すことができて更に有利だったんだけれど、それなしでも概ね有利だろう。バーンと同じくスペルまみれで、バーンと同じく土地を切り詰めているボーグルはサリアに弱い。呪文捕らえはよく夜明けの宝冠を捕らえている。呪禁もちについてしまうと非常に対処が難しいこのカードを相手がプレイできるなら、呪文捕らえは常に構えていなければならない。霊気の薬瓶があれば構えつつ展開できるので、だいぶ楽になるだろう。
ボーグルを狙い撃つサイドカードは用意していない。メインボードの構成的に十分有利だからね。ミラディンの十字軍のプロテクションは、ブロックが可能なうちは地上は止め続けられることを意味している。そして相手側は十字軍を止められない。除去を全て残し、反射魔道士をサイドインする理由は相手が呪禁クリーチャーを引けずにコーの精霊の踊り手にオールインするプランを採ってきたときに負けないようにするためだ。ドライアドの東屋には幽霊街でも対処できるが、踊り手には流刑か反射魔道士が必要なのだ。
ホロウワン
+4 ブレンタンの炉の世話人
+1 安らかなる眠り
+3 外科的摘出
+1 墓掘りの檻
+1 ミラディンの十字軍
+1 反射魔道士
-3 聖トラフトの霊
-3 修復の天使
-4 血清の幻視
-1 地平線の梢
後手の場合は血清の幻視を残して薬瓶を抜いても良いと思うけれど、どちらが正しいか確信が持てずにいる。先手ならば薬瓶のほうが絶対に強い。
テストでの勝率は5マッチを通じて40%、本戦では最終戦を落とした相手だ。正直当たりたくない相手だが、勝てないわけではない。BR型とRG型があるが、BRのほうがキツい。どちらの型が相手にせよ墓地対策は十分取ってあるし、ミラディンの十字軍も仕事はしてくれるだろう。フェッチ+ショック、通りの悪霊のサイクリングで相手はどんどんダメージを受けるから、実質こちらが削らなければならないライフは12点くらいであることが多い。先制攻撃がとても便利で、流刑への道が時間を稼いでくれるだろう。相手がベストドローをしてきたら、こちらがやれることは多くない。しかし90点くらいのドローであれば闘いようはある。また下振れも発生しうるデッキなので、サリアや裁き人がロックするパターンも含めれば、結構な勝ちを拾えるだろう。
死の影
+1 聖トラフトの霊
+1 安らかなる眠り
+1 反射魔道士
+1 ミラディンの十字軍
-4 血清の幻視
本戦には死の影はいなかったけれど、テストでは5回当たって勝率は40%だった。五分のマッチアップといえる。最後の望み、リリアナやイゼットの静電術士避けに清浄の名誉は残しておく。ケアするべきなのはミラディンの十字軍をヴェールのリリアナで処理されないようにすること、そしてティムールの激闘だ。頑固な否認でカウンターされない呪文捕らえが鍵となる呪文を無効化できれば有利になる。問題は相手のハンデスでプランをズタズタにされてしまうことだけれど、デッキの構成上トップに有効牌がある可能性は高いのでまあなんとかなるだろう。特に先手ならば、レオニンの裁き人とサリアでゆっくりしたゲーム展開に持っていける。
テストでは40種類近くのデッキと対戦した。その全てを個別に取り扱うことはできないけれど、負け越したものがなかったということだけは伝えておこう。
ポンザ、トライバルズー、青緑のジェイス/タルモデッキに対しては67%、人間、赤緑エルドラージ、マーフォークとナヤには50%、そしてスケープシフト、リビングエンド、ドレッジ、マルドゥパイロ、エスパーオブゼダート、グリショールブランド、赤緑信心、8ラック、魂剥ぎ、感染、
エルドラージタックス、ゴブリン、黒単氷雪、スゥルタイには100%の勝率だった。
親和とはプレイしていなかったが、五分か少し有利程度の相性だろう。
ほぼすべての相手に対して最低でも五分の勝負ができ、かつ対応しすぎないデッキを探しているのなら、このデッキがおすすめだ。これが現在のメタゲームにおいては、デスタクのバリエーションで一番優れていると、自信をもっているよ。
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以上です。このリストを目にしたPVがツイッターで思いっきり眉をひそめていて笑いました。でも面白そうなデッキなのでコピーして回してみたいです。
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