【翻訳】Be You by Craig Wescoe ~後半~
 前編(http://quadrophenia.diarynote.jp/201603161742171623/)の続き。明らかに文量の配分を間違えた……
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 このデッキはETB能力を中心に構成されている。ニッサの誓いで見つけてきたクリーチャーを霊気の薬瓶でノーコスト、かつインスタントタイミングで展開して能力のシナジーを最大限に伸ばすんだ。たとえば悪鬼の狩人の追放能力をスタックに積んでから、ちらつき鬼火か修復の天使でブリンクすることで二体のクリーチャーを追放できる。ちらつき鬼火とコーの空漁師で、ニッサの誓いを再利用するのもいい。スラーグ牙をブリンクすればライフとトークンを得られるし、進化の飛躍は2:1交換を際限なく行い続けてくれる。動き自体が面白いし、ジャスティンと僕はこのデッキを──エルドラージに支配された世界においてさえ──十分戦えるレベルまで仕上げられたと思う。

 大会の始まる前に、僕はマーシャル・サトクリフとデッキテクを披露した(訳注──元記事に動画が埋め込まれています)。

 ブライアン・デヴィッド・マーシャルとMOでマッチもした。何度かフィーチャーマッチの映像が入ってくるけど、対戦の模様はこの動画で見られるよ(訳注──同上)。

 4:46から試合開始。5:44で映像が戻ってくる。またフィーチャーが間に挟まってくるけど、7:17に再開。
 デッキテクを見ればデッキのことをよくわかってもらえるだろうし、マッチの映像は実際何ができるのかをよく物語っていると思うよ。
 デッキを見てもらうのは楽しい──自分の作品を他のみんなと共有するのは、僕にとって必要なことでもある。競技レベルかつ面白みのある、そして今あるどれにも似ていないデッキを作るため僕は全力を注ぎ込んだし、実際プレイしていてめちゃくちゃ楽しかった。この新しいデッキを誰もが作りプレイを楽しめるように、みんなと情報を共有したかったんだ。

 さて、奇妙なめぐり合わせで、僕とジャスティンはラウンド13にてミラーマッチを行うことになった。2000人以上が犇めく会場でこのデッキを使っているのは僕たちだけだっていうのにね。ゲーム1は、ジャスティンが1ターン目の霊気の薬瓶から進化の飛躍とつなげてクリーチャーを展開し続けて取った。2ゲーム目は、ジャスティンの貴族の教主に悪鬼の狩人を叩きつけ続け、マナを伸ばさせずに僕が勝利。3ゲーム目はスラ牙祭りで、長い戦いになった。お互い進化の飛躍エンジンを回していて、スラーグ牙をちらつかせてライフを安全圏に保ち続けていたのだ。結局平らな場のままでラウンド終了のアナウンスを聞くことになった。僕らは二人とも4敗していて、賞金をもらえる目はない。同乗者が帰りたがっていたのもあって、ジャスティンは喜んで勝ちを譲ってくれ、僕にプロポイントを獲るチャンスをくれた(そして、僕はそのチャンスをものにすることができた!)。
 まあ要点を言えば、どんなにユニークなデッキを使っていても、ミラーマッチの可能性はあるってことだね。

 大会終了後、僕はたまたまデヴィッド・グリーンに会った。デヴィッドは11-4で大会を終えていて、対エルドラージでは5-0していた。 彼の緑白ヘイトベアーはミシュラランドを5枚(活発な野生林を4枚、樹上の村1枚)採っているのみならず、サイドに四肢切断と勇敢な姿勢を2枚ずつ備えていたんだ。サイド後はこれで十分エルドラージを倒せるよ、とデヴィッドは語った。彼こそ"アンチ・エルドラージ賞"に相応しいね。お互いのデッキを並べて見比べながら、僕はデヴィッドにデッキの写真(訳注──画像参照)をツイッターにアップして、僕へツイートしてくれるようお願いした。エルドラージに勝てるヘイトベアーはどうやって作り上げられたかを、フォロワーのみんなに知ってもらうためだ。

帰りながら、ジャスティンとメッセージでデッキの改良点と目指すべき方向について話し合った。まずはこういう方向に向かってみた↓

W/G Trigger Happy v2 by Craig Wescoe
Creatures 24
2 永遠の証人
4 悪鬼の狩人
4 ちらつき鬼火
4 貴族の教主
4 修復の天使
2 スラーグ牙
4 復活の声
Spells 14
4 霊気の薬瓶
2 進化の飛躍
4 ニッサの誓い
4 流刑への道
Lands 22
2 森
3 幽霊街
3 地平線の梢
2 平地
4 剃刀境の茂み
4 寺院の庭
4 吹きさらしの荒野

Sideboard
2 永遠の証人
3 ガドック・ティーグ
1 幽霊街
2 漁る軟泥
3 石のような静寂
1 太陽の槍
3 崇拝


 御霊の復讐デッキと2戦した結果、漁る軟泥抜きではこのマッチアップはかなり厳しいと思った。だからサイドに採ってある。また、一度当たって勝利したものの、ボーグルに対してもっと効果的なプランが欲しかったので崇拝を採用した。これはボーグルのみならず色々なデッキ(エルドラージ、バーンなどなど)に刺さる。それと、禍汰奇は石のような静寂に戻した。静寂のほうが、トロンやランタンコントロールに効くからだ。

 ルーンの光輪とコーの空漁師は良いカードなんだけど、永遠の証人と4枚めのニッサの誓いのために空けるスロットがそこしかなくて、泣く泣く削った。それから、墨蛾の生息地とウルザトロンから身を守るための幽霊街も追加してある。このデッキの感触は上々だね。永遠の証人がちらつき鬼火や修復の天使で回り始めれば、相手は帰りたくなること請け合いだ。

 数枚のキーカードのために黒を足してみるのも検討してみている↓

Abzan Trigger Happy by Craig Wescoe
Creatures 26
4 極楽鳥
2 永遠の証人
4 悪鬼の狩人
4 ちらつき鬼火
4 修復の天使
2 叫び大口
2 スラーグ牙
4 復活の声
Spells 12
4 霊気の薬瓶
2 進化の飛躍
2 ニッサの誓い
4 流刑への道
Lands 22
2 森
2 幽霊街
1 神なき祭殿
2 湿地の干潟
1 草むした墓
2 平地
4 剃刀境の茂み
2 寺院の庭
2 新緑の地下墓地
4 吹きさらしの荒野


こういうカードも採用候補だった↓

潮の虚ろの漕ぎ手
盲信的迫害
雲打ち
勇敢な姿勢


 黒を足す大きな理由は叫び大口だ。このデッキのブリンク効果との相性がとにかく最高だからね。想起でプレイした叫び大口を霊気の薬瓶からちらつき鬼火でブリンクすれば、2体のクリーチャーを殺しつつ3/2畏怖が戦場に残る。鬼火じゃなくて修復の天使でもいい。メインから4枚採っていない理由はたったひとつ、"アーティファクトでない"という一文が親和に対して致命的だからだ。
 それから、未練ある魂を採れるのも嬉しい。空中生成エルドラージや生息地二種、それに相手の未練ある魂といった小型フライヤーへの耐性が増す。進化の飛躍との相性が良いのも見過ごせない。エサのスピリットを供給して、欲しいクリーチャーを見つける手助けをしてくれるのだ。

 それから。MOのマッチをTwitchで見返していると、どうしても動画と一緒にチャットも目に入ってくる。エルドラージではなくオリジナルデッキを使っていることで、僕を称賛するのではなくむしろけなすようなコメントばかりだ。相手はリビングエンドで、僕はこのデッキで相対したことはなかった。でもプレイ中、進化の飛躍で墓地を肥やせばこちらのETB効果を死せる生で逆用できることに気づき、相手の複数の死せる生をかいくぐって勝利することができた。立派な競技レベルのデッキを、墓地対策ではなく自分のデッキができることをやって倒したんだ。それでもチャットでは僕のデッキは弱いと決めつけられていたし、僕の見た目をあざ笑うようなコメントでいっぱいだった。これには僕もがっかりしたし、こうツイートをせざるを得なかった。

  Twitchに寄せられたコメントを読んだ。PSAは間違ってもそんなバカな真似をしないことだ。

 最初のほうで話したとおり、僕はいつも思ったことを口にしてしまうタイプの人間だ。自分を隠しはしない。そしてこういう生き方をしていると、もちろん批判されやすくなる。何年もかけて、僕は軽口や嘲りを平然と受け流すための厚い皮膚を身にまとうように努力してきたけれど、それでも誰かが石を投げ始めると無反省にそれに追随してしまう名もない人々の在りようを見るとがっかりしてしまう。もちろん僕のデッキが何を目指しているかを理解してくれている、そしてお互いに腕をふるいがいのある好ゲームが行われていると理解ってくれているコメントもいくつかあった。でもそれらは、長髪というだけで僕をケイトリン・ジェンナーと比べたり、僕のデッキが目新しいというだけでとても実用できない酷い屑だと決めつける、中学生レベルのコメントに飲み込まれてしまっていた。

 本当はこんなことを書くつもりはぜんぜんなくて、これはただジャスティンと僕がGPデトロイトのために作ったデッキのためだけの記事だった。でも言及する価値はあると思った──だって僕は、こういうコメントやそれに結びついている群衆のメンタリティーのせいでマジックから遠ざかったり、トーナメントから身を引いたりした人々を大勢知っているのだ。これはまさに、マジックの抱えるガンだ。問題の核心は、"みんなと違う"ことへの恐怖だ。
 みんなに個性がある。特にマジックは、個性的な人を惹きつける傾向にある。多くの人々が、マジックを通して自分を表現している。大きなトーナメントのためであれ、仲間内のEDHのためであれ、あるいはただ組みたいからであれ、自分のデッキは自分の延長上にある。他所からきたアイディアでも、プレイするときには自分のものになっているんだ。アイディアってのはみんな、どこかからくるものさ。思い当たったときからそれは自分のものになって、無意識のうちに自分らしく改造されていく。誰かの作品に自分なりの手を加えることもあれば、ゼロから自分で作り上げることもある。いずれにせよ、デッキは僕たち自身について雄弁に語ってくれるんだ。僕たちは"他人と違う"ということをもっと誇り、"自分と違う誰か"を尊重しなければならない。
 僕は絶対に自分自身であることから逃げない。僕は世界一のプレイヤーではないだろうし、自分自身であることで何かと不便を被ることはあるだろうけれど、大きな視点から見れば、それは僅かな代償にすぎない。

 世の中を変えたければ、模範を示し続けるしかない。これを読んでいるきみも、自分自身の個性を慈しみ、そういう姿勢を見せることで周囲のみんなにも伝染させていってほしい。エルドラージを使いたくなければ使わなければいい。使いたいものを使おうじゃないか。周りが何を期待しているかなんて考えなくていい。代わりに、自分の内なる声に耳を傾けること。自分を信じよう。自分の潜在能力を一番知っているのは自分自身だ。スリヴァーを使いたいならスリヴァーを使おう。変身デッキを使いたいなら変身を。エルドラージならエルドラージを。もしあらゆるフォーマットで白ウイニーを使いたいのなら、自分を偽らなくても世界を相手に回して立派に戦えるってところを見せてやろうじゃないか。

 自分自身であれ。
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 以上です。少し長い記事ですが、全力で訳しました。何をするにせよ、信念を持ちたいものですね。

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